〒949-8433 小出癸2126番地1

清津峡の絶壁を見物

清津峡は、古い時代に、黒部峡谷、大杉と共に日本三大峡谷として教科書にも登場した名勝の地である。歩道トンネルをぬけると、清津川が狭った柱状節理の岩壁が迫って、目のくらむような奇観である。
その清津峡の入口にあるのが清津峡温泉。新幹線や関越道がつくまでは飯山線周りという不便さと越後田沢からの道が、豪雪地帯の為に冬はとだえるというへき地だったせいか、今でも清津峡温泉を知る人は少ない。関越道を利用すれば塩沢石打インターから20分そこそこという近さである。
温泉は49度という適温で湯量も量。とくに湯につかると肌がすべすべするのでご婦人には受けているようである。
ここは豪壮で雄大な渓谷の連なる深山、ひぐらしの鳴く声がしみる静寂境である。とくに豪雪期の冬の温泉は想像もつかないような白銀の世界である。

含硫黄-ナトリウム-塩化物泉（低張性アルカリ性温泉） 小出温泉2号泉
ナトリウム塩化物泉が90％以上占める食塩泉。塩類泉の特徴である早く温まる効果といつまでもポカポカして冷めないという「熱の湯」としての性質をもつので、肩こり・筋肉痛・腰痛などに効果が期待できる。加えてpH9.1と強いアルカリ性を示し、入浴後数分で皮膚表面の角質や皮脂を溶かし、肌のツルツル感が得られる美肌系の温泉である。しかし、アルカリ成分がやや強いので、長湯や頻回の入浴は肌荒れにつながるが塩類泉の性質で早く温まるので、体が温まったと感じる短時間の入浴で済ませる入浴法がよい温泉と考えられる。硫化水素イオンが少し含まれるので温泉特有のにおいも少し感じられる温泉である。
熱の効果により皮膚周辺の血流量が増し皮膚に多くの栄養や血液が運ばれ皮膚が再生されやすい状態を作ると思われ、皮膚炎やきり傷などの皮膚再生への効果も期待できる。

薬師の湯 単純硫黄泉（低張性アルカリ性高温泉）
食塩泉である小出温泉に比べ含有物質がやや少ないが、溶存物質は小出温泉1082㎎、薬師の湯694㎎であり薬師の湯は1000㎎を下回るため単純温泉の名称であるが内容に大きな差はない。そのため温泉の効果としての熱の湯としての性格を少し保持し、強いアルカリ性の温泉の特徴は同じで美肌系の温泉である。硫化水素イオンによる温泉特有のにおいも同じと思われる。

日本温泉科学会会長、日本温泉協会副会長（学術部委員長）、国際医療福祉大学大学院　教授 前田眞治